IRメッセージ

株主の皆様には平素より格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、当社の2025年3月期の事業概況並びに決算の内容をご報告申し上げます。
当期のわが国経済は、国内の雇用・所得環境の改善などを背景に緩やかな回復基調が続きましたが、国際的な 情勢不安の長期化による資源価格及び原油などのエネルギーコストの高止まりに加えて、為替の変動や物価上昇、さらには海外景気の下振れリスクなど、経営環境は依然として予断を許さない状況が続きました。
このような経営環境下において、当社グループは長期ビジョン「積水樹脂グループビジョン2030」の実現に向けた「中期経営計画2027」を2024年5月に策定し、スタートさせました。同計画では長期ビジョンの3つの基本方針「人的資本の価値最大化」、「成長戦略による拡大」及び「サステナビリティ経営の推進」に、4つ目の基本方針「資本コストや株価を意識した経営への取り組み」を加え、企業価値の向上に向けた施策について、全社をあげて推進、実行しております。
「人的資本の価値最大化」を着実に推進するために、2024年4月に、人事・総務・人財開発機能をさらに強化する人財本部を新設するとともに、同年11月には生産子会社4社を吸収合併し、工場組織として再編いたしました。
また、「成長戦略による拡大」の取り組みの一環として、関東・北海道地域を国内の重点戦略地域と位置付けており、2024年4月に関東・首都圏での設計対応力強化を目的に、東京設計室を設置するとともに、同年12月には、北海道で防雪・防風対策製品の研究開発・製造・販売等を手がける「理研興業株式会社」を当社グループに迎え入れました。
当期の連結業績につきましては、売上高は、国内において工期遅延、対象予算の削減、住宅着工数の削減等の厳しい環境が継続しているものの、国内外の既存事業全体は売上規模を堅持し、ドイツの道路保安用品メーカー「WEMASグループ」及び国内のエクステリア製品メーカー「株式会社エクスタイル」を連結子会社化したことにより、742億3千1百万円(前年同期比18.2%増)となりました。利益については、長期ビジョン達成に向けた人財・成長投資を引き続き推し進めたこと、並びに既存事業の売上構成の変化や原材料価格、輸送費、エネルギーコストの高騰などの影響もあり、営業利益は50億1千1百万円(前年同期比20.4%減)、経常利益は54億4千7百万円 (前年同期比21.8%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は35億4千4百万円(前年同期比24.1%減)となりました。なお、参考として、当期におけるEBITDA(※)は85億5千2百万円(前年同期比13.3%増)となりました。
(※)EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)
当期の期末配当金につきましては、5月13日開催の取締役会において、連結業績及び連結配当性向などを勘案し、直近予想と同額の普通配当35円とさせていただきました。この結果、中間配当金35円と合わせた当期の年間配当金は、前期に比べて5円増配の1株につき70円(16期連続の増配)となり、連結配当性向は62.5%となりました。今後の経済情勢は、国内では、賃金・金利が上昇しつつあり、訪日外国人の増加や、堅調な投資需要も相まって、緩やかな回復が期待されるものの、物価上昇による個人消費への影響や、米国の通商政策の動向による世界的な景気の下振れリスクが懸念されるなど、先行きは不透明な状況が続くと見込まれます。
当社グループを取り巻く事業環境においては、公共投資の底堅い推移や企業収益の改善を背景とした設備投資の回復基調が見られるものの、資源・原材料価格の高止まりや輸送費・人件費を含むコスト上昇、加えて建設業界における労働力不足による工期の遅延リスクなど、不確実性の高い状況が継続するものと見込んでおります。
このような情勢下、当社グループは、「中期経営計画2027」の2年目を迎え、変化する事業環境を的確に捉えつつ、中長期的な企業価値の向上を視野に入れた経営に一層注力し、長期ビジョン「積水樹脂グループビジョン2030」の実現に向けて、これまでの諸施策の効果が早期に現れるよう、取り組んでまいります。具体的には、当社事業に関連する公共投資の動向や顧客ニーズの変化に対応した既存事業の着実な成長に取り組むとともに、新たにグループへ迎え入れた各社との相乗効果の発揮、電力インフラ領域や、重点戦略地域と位置付ける関東や北海道におけるビジネス拡大等の成長戦略を推し進めます。また、脱炭素・循環型社会への移行といった社会的要請を踏まえ、環境や社会課題の解決につながる製品・サービスである「サステナビリティ貢献製品」の創出及び販売拡大を加速させてまいります。
さらに、将来の成長を支える柱として、自動運転の進展を見据え、交通安全・標識関連製品の先進化に取り組むなど、安全・安心に貢献する製品・システムの開発を積極的に推進してまいります。加えて、欧州及び東南アジア を中心とした海外市場における事業拡大にも戦略的に取り組み、グローバルな事業基盤の強化を図ってまいります。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務プロセスの高度化・効率化を図り、現場力の強化と 収益性の改善を実現することで、グループ全体の競争力を向上させてまいります。
株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
2025年5月13日
