IRメッセージ

株主の皆様には平素より格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、当社の2024年3月期の事業概況並びに決算の内容をご報告申し上げます。

当期のわが国経済は、国内の雇用・所得環境の改善などを背景に緩やかな回復基調が続きましたが、国際的な情勢不安の長期化による資源価格及び原油などのエネルギーコストの高止まりに加えて、世界的な金融引締めに伴う経済情勢への影響や為替の動向など、経営環境は依然として予断を許さない状況が続きました。
このような経営環境下において、当社グループは、「人的資本の価値最大化」、「成長戦略による拡大」及び「サステナビリティ経営の推進」を基本方針とした長期ビジョン「積水樹脂グループビジョン2030」を策定し、事業戦略を推進しております。
当期は、自然災害に対する防災・減災、安心して暮らせるまちづくりのための国土強靭化、生活道路・通学路における歩行者の交通安全対策や騒音低減などの社会課題に対し、当社の強みである「モノづくり」の強化、「サステナビリティ貢献製品」の提案を通じて安全・安心・快適な暮らしに向けたソリューションを提供するなど、サステナビリティ経営の強化に引き続き注力いたしました。
また、原材料価格やエネルギーコスト・輸送費高騰への対策に継続して取り組むとともに、有効な設備投資による生産性向上、オフィスの移転やリニューアルによる働き方や職場環境の変革を行うなど、将来に向けた投資についても積極的に実施いたしました。
加えて、成長戦略の一環として、ポリスチレン発泡材を主要部材とした主に戸建て向けフェンスに強みを持つ株式会社エクスタイルと、ドイツの道路保安用品メーカーWEMASグループの2社の経営権を取得するなど、M&Aにも積極的に取り組みました。
当期の連結業績は、工期遅延の影響など収益面で厳しい状況にありましたことに加えて、長期ビジョン達成に向けた人財・成長投資を推し進め、売上高は627億9千万円(前期比4.7%減)、営業利益は62億9千8百万円(前期比30.1%減)、経常利益は69億6千9百万円(前期比26.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は46億7千1百万円(前期比29.8%減)となりました。
当期の期末配当金につきましては、4月26日開催の取締役会におきまして、連結業績及び連結配当性向などを勘案いたしまして普通配当を32円とさせていただきました。この結果、中間配当金33円と合わせた当期の年間配当金は、前期に比べて2円増配の1株につき65円(15期連続の増配)となり、連結配当性向は49.5%となりました。

今後の経済情勢は、賃金・物価の上昇、マイナス金利政策の解除に伴う金融や為替市場の変動、人手不足による経済活動の制約、不安定な国際情勢の継続など、事業環境は不透明な状況が続くと予測されます。また、物流業や建設業におけるいわゆる「2024年問題」により、物流コストや建設コストが高騰する一方で、効率化・省人化への取り組みが一段と強化されると見込まれます。
このような情勢下、当社グループは環境の変化をチャンスととらえ、省人・省力化や、防災・減災、次世代運転技術などの社会課題に対応する製品の開発や提案に注力することで業績目標の達成に向けて取り組んでまいります。
また、「積水樹脂グループビジョン2030」の実現に向け、2024年5月に新たな中期経営計画を策定し、持続的な成長のための諸施策を実行してまいります。この計画では、「人的資本の価値最大化」「成長戦略による拡大」「サステナビリティ経営の推進」を基本方針とし、資本コストや株価を意識した経営を最重要課題と位置付け、収益力の向上や資本効率の改善に注力します。人的資本の価値最大化においては、「人財本部」を新設し、人財の獲得・育成や人事制度の改革を進めると同時に、健康経営の推進に向けて積極的に取り組みます。成長戦略においては、経営権を取得したWEMASグループや株式会社エクスタイルとの相乗効果を早期に創出させるほか、IoT技術を活用した製品開発、関東・北海道などの地域戦略や電力インフラ事業分野などに経営資源を重点配分してまいります。さらには、サステナビリティ貢献製品の開発・販売を拡大するとともに、脱炭素社会実現への貢献や、生物多様性保全に関する取り組みも継続してまいります。

株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長兼CEO 馬場浩志