個人投資家の皆様へ
積水樹脂ってこんな会社です
積水樹脂グループは「複合技術による価値ある製品の創造とサービスを通じて社会の安全・安心・環境に貢献する企業グループを目指します。」という
経営理念のもとに、独自の技術力によって特色ある製品の事業化をはかっています。
積水樹脂グループは、「人財第一」「既存事業の進化」「成長への投資」に取り組むとともに、「資本コストと株価を意識した経営」を実践してきました。
2025年度は過去最高の売上高を更新し、営業利益も二桁増益となるなど、これまでの取り組みの成果が着実にあらわれています。
今後は、これらの投資の効果をより明確に示し、収益性および資本効率の一層の向上につなげてまいります。
2026年7月31日

積水樹脂グループは完成品メーカーとして社会に価値を提供
当社グループは株主市場では化学セクターに位置づけられ、社名に「樹脂」を含むため、化学の原材料メーカーというイメージを持たれがちですが、実際には原材料や中間材ではなく、社会インフラや生活空間のなかで使用される完成品やソリューションを提供している点に特徴があります。
多様な事業領域を有しながら、素材を要素技術で組み合わせることで独自の価値を付加した製品・ソリューションを創出して、事業を展開しています。
製品の幅広さに加え、使用する原材料も樹脂に限らず、金属など複数の素材で構成されており、樹脂の比率は全体の約3分の1強にとどまっています。このため、特定の原材料に過度に依存することなく、調達面においても柔軟に対応できる事業構造を有していることも、当社の特徴の一つです。
当社グループの事業は、公共分野と民間分野の2つのセグメントで構成されています。
公共分野では、交通安全製品や防音壁などを通じて、安全・安心で美しいみちづくり・まちづくりに貢献し、国土強靭化や防災・減災といった社会課題の解決に取り組んでいます。一方、民間分野においては、住環境や物流、農業など幅広い領域で製品・サービスを提供し、環境対応や施工性の向上、省人化・省力化といった課題解決に取り組んでいます。
強みは「技術」「領域横断」「信頼」の力

「防音めかくし塀」
当社グループの強みは、まず、長年培ってきた多様な「要素技術」が挙げられます。そして、それらの技術を事業領域を横断して活用し、新たな価値の創出につなげる「領域横断」の力にあります。例えば、公共分野における防音壁で培ってきた音響制御技術を、民間分野で騒音対策を必要とする住宅や工場などの外構製品にも展開することで、当社ならではの競争優位性につながっています。このように、当社は個々の事業で長年蓄積した技術を分野を越えて活用することで、新たな用途や価値を生み出し、事業領域の拡張と付加価値の向上を実現しています。そして、長きにわたり積み上げた実績や、経験・ノウハウ、豊富な顧客基盤は、お客様からの「信頼」の力となり、継続的に選ばれるパートナーであり続けていると考えています。
2026年3月期は増収増益今後は成長投資の収穫へ

2026年3月期の業績は、既存事業の伸長に加え、新たにグループ入りした理研興業(株)の寄与により、連結売上高781億円(前期比5.3%増)、営業利益56億円(同13.4%増)となり、売上高は2期連続で過去最高を更新、利益面でも二桁増益となりました。また、キャッシュを創出する力を測る指標として重要視するEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)も拡大しており、成長投資の成果が着実にあらわれてきています。
私は、「企業価値の源泉は人にある」との考えのもと、2022年のCEO就任以降、人財への投資を第一とし、また、設備・研究開発・M&Aなどへの成長投資を継続し、持続的に価値を創出できる基盤づくりを進めてきました。今後は、これらの成果をより明確にお示しする段階へと移行していきます。
2027年3月期も増収増益を見込む不確実な環境下でも対応力を発揮
2027年3月期は、中東情勢をはじめとする地政学的リスクが一定水準で継続することを前提として、その影響を折り込んだうえで、売上高840億円、営業利益63億円と、増収増益を見込んでいます。とりわけ原油由来の原材料や副資材の調達環境および価格動向には不透明な要素が多く、注視が必要ですが、こうした環境下においても、当社は樹脂に限らず多様な素材を活用した事業構造を有しており、原材料リスクの影響は一定程度抑制可能です。そのうえで、供給責任を最優先とし、調達先の拡充や在庫管理の強化、価格対応を含めた機動的な施策により、事業への影響を最小限に抑えていきます。これらの取り組みを通じて、成長施策の成果を着実に収益へとつなげます。

(※)EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)はキャッシュを創出する力を測る指標として重視しています
既存事業を進化・深化させながら変化に対応
このような業績見通しの背景には、外部環境の変化を踏まえながら、当社が事業の競争力強化に継続的に取り組んできた成果があります。
公共分野の事業環境としては、日本国内市場としては、大きな成長が見込みにくい状況にあることを率直に認識しています。新設道路の計画は限定的であり、加えて働き方改革や気候条件の影響による工期の長期化などから、従来のような需要の伸びは期待しにくい状況です。
一方で、交通安全や防災・減災といった分野は依然として大きな社会課題であり、需要が急激に減少することはないと考えています。これまで培ってきた技術と実績をベースに、鉄道、河川、港湾など周辺インフラ分野へ事業領域を拡張し、インフラメンテナンスや国土強靭化にも対応しています。さらに、技術の高度化による製品の付加価値向上や、自動運転社会への対応などを通じて、社会環境の変化に応じた新たな価値提供を進めています。
民間分野においては、建築着工や設備投資の動向に影響を受けやすい側面があるものの、環境対応や施工性の向上、省人化・省力化といったニーズは引き続き高い状況にあります。特に、人手不足の深刻化や現場効率化への要求の高まりを背景に、製品・施工の両面における付加価値の重要性が一層高まっています。
当社はこうした環境変化を機会と捉え、培った技術や製品を他の事業や製品へ展開するとともに、用途に応じた製品の高度化や新たなソリューションの提供を進めています。
積水樹脂グループの成長戦略~2つの基軸~
当社グループの「強み」を磨き、それらを最大限に活用して将来の収益獲得へと結びつけるため、重点投資分野を定め、事業基盤づくりに戦略的に取り組んでいます。この成長戦略は、「2つの基軸」で推進しており、その進捗と成果についてご説明いたします。
成長戦略の基軸1:技術起点・社会課題解決型の事業展開
当社は、これまで培ってきた技術を起点に、社会課題の解決と新たな価値創出につながる事業領域を、今後中期的に収益拡大が見込まれ、成長を牽引する重点領域と位置づけています。具体的には、「騒音低減」「防災・減災」「自動運転社会への対応」「RFID」「フィルム型ペロブスカイト太陽電池関連」の5分野です。本報告書で詳細をご説明いたしますが、私からは「防災・減災」「RFID」「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」の取り組みについてお話しいたします。
ソフトとハードでトータルに支える防災・減災

まず、「防災・減災」です。近年、自然災害の頻発・激甚化を背景に、防災・減災への社会的ニーズは一段と高まっています。加えて防災庁の創設に向けた動きなど、国全体として防災体制の強化が進み、関連分野への投資拡大も見込まれています。IoTセンサー、IoT表示デバイスを活用したセンシングや情報連携に加え、防水柵などのインフラ製品を併せ持つことで、ハード・ソフト一体で課題解決を実現できる点が当社の強みです。
自治体においては、少子高齢化の進展による人手不足に加え、気象災害の発生が不確実であることから、限られた人員での効率的かつ迅速な対応が求められています。また、この課題に対応するとともに、防災DXのソリューションは公共分野にとどまらず、民間分野においても損害保険会社との連携などを通じて展開しており、活用の幅を広げています。
「見える化」で現場を変えるRFID

次に「RFIDの電波制御技術」です。RFIDは、無線通信によりタグ情報を自動で読み取る技術であり、すでに物流や小売などの現場作業の効率化技術として広く活用されています。こうしたなか、当社のRFID事業は、既存プレイヤーが多い市場において独自の技術で差別化を図っています。具体的には、電波の多重反射による誤認識を抑制する厚さ5㎜の透明電波吸収パネルを活用したソリューションです。これにより、「作業の見える化」を通じて、物流やリネンサプライなどの現場において作業環境に影響を与えることなく導入が可能です。また目に見えない電波の可視化技術「電波の見える化」を開発し、誤認識をさらに効率的に抑制することが可能です。2026年4月には事業として組織化し、本格的な展開フェーズへ移行しています。
フィルム型ペロブスカイト太陽電池の普及を支えていく

バス停シェルター
フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量性や柔軟性を活かした新たな再生可能エネルギーとして期待されています。当社は、電池そのものではなく、下地材や構造材の分野で参画しています。当社は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の搭載が見込める防音壁、フェンスなどの製品の採用実績が多数あることから、今後の展開において優位性があります。
大阪・関西万博などでの実装実験を足掛かりに、今後は実用化の進展にあわせて事業機会の拡大を図り、本格的な展開につなげてまいります。
成長戦略の基軸2:技術獲得型のM&A
もう一つの成長への取り組みは、新たな要素技術の獲得を通じて付加価値を創出し、事業領域の拡大につなげる成長戦略の重要な手段と位置づけているM&Aです。単なる規模拡大を目的とするのではなく、既存技術や製品との親和性やシナジーを重視し、グループ全体の競争力向上につながる案件を厳選してきました。
欧州の交通安全分野においては、堅調な業績をあげているドイツのWEMASグループと、オランダの既存拠点との補完関係を構築し、相互の顧客基盤を活かした展開が進んでいます。また、国内においても専門性の高い技術を取り込むことで提案力の強化に取り組んでいます。今後も、技術の高度化と領域拡大を実現する手段の一つとして、M&Aを推進していきます。
企業価値を高める中核・原動力は「人財」
当社は、「人的資本の価値最大化」を経営の基本方針として掲げています。成長戦略やM&Aの推進においても、必要な技術を見極め、獲得し、それを価値へと高めていく主体は人であり、人財の力なくして持続的な成長は実現できないと考えています。また、短期的な利益を優先するだけでは将来の成長にはつながらないとの認識のもと、人財への投資を経営の最優先事項として取り組んできました。人財投資の効果は、即時に定量化しにくい側面があるものの、中長期的な業績の質を高める先行投資であり、今後も引き続き強化していく方針です。
人財の獲得・育成と技術の継承により当社の強みを磨き、それを新たな価値や事業の創出につなげていくことが、今後の成長に不可欠です。これらを支える基盤として人的資本の価値最大化に地道に取り組んでいくことが、当社の持続的な成長の土台になると考えています。AIやDXが進展するなかでも、価値創出の主体は人です。当社は、どのような環境においても人財第一の方針を堅持し、社員が前向きに挑戦し続けられる企業であり続けます。

資本政策はドライブをかけて実施
当社は、これまでも資本コストや株価を意識した経営に継続的に取り組んできましたが、今期はこうした取り組みについて、改めて一段踏み込み、その実行をより強化していきたいと考えています。現状、人的資本投資や成長投資が先行していることから、ROEは目標水準を下回り、PBRも1倍を下回る状況にありますが、これは当社の成長性が現時点では十分に評価されていない可能性があるものと受け止めています。今後は、成長戦略の着実な実行による利益の拡大と、株主還元および政策保有株式の縮減による資本構成の適正化を両輪として、資本効率の改善を進めていきます。特に2027年3月期は、「配当の大幅増配(年間100円)」や「政策保有株式の約3割縮減(※2026年3月末時点の時価を基準)」を計画しており、これらの取り組みを通じて資本効率の改善を行っていきます。あわせて、自己株式取得の機動的な実施など、株主還元の充実にも継続して取り組みます。
2027年3月期は、その成果が見える年に
地政学リスクはありながらも、積水樹脂グループは、経営基盤の再構築フェーズを終え、利益成長と資本効率改善を両立させる新たなステージに入ったと考えております。2027年3月期は、その成果を定量的にお示ししていくための重要な一年と位置づけています。2030年に向けた成長の姿を、ステークホルダーの皆様にも実感・共感いただけるかたちで、分かりやすく示していきたいと考えています。
今後も、中長期的な企業価値向上に向けた当社の取り組みに、引き続きご期待ください。
投資をお考えのみなさまへ
もっとご理解いただくために
会社紹介動画
積水樹脂グループ公式note


積水樹脂グループ公式noteでは当社グループの製品開発や従業員や環境への取組みなどをお伝えしています。






